感想モドキ

長いので追記に載せました…；
原作ネタバレなのでご注意を。

私にとっては久しぶりの本格的な読書でした。
もうね、一番言いたいのはワタルが本当に強い子だってこと。彼が“強く”なったのには勿論ちゃんとした理由があります。ゲームやなんかでレベルが上がって強くなっていくようなそういう次元じゃない。根本的なところでは彼は何ひとつ変わってないんですから。『三谷亘』として幻界に行き、『三谷亘』として現世へ戻ってきた…。
旅の中で色々な人に出逢い、色々な出来事に遭遇して彼は自分なりに考え、思い、そして強くなったんです。これらは全て起こるべくして起こったことであって…。
映画ではワタルの家庭事情が軽めに表現されてますが、実際原作を読むと感じるものはそれ以上なんじゃないかな…。
辛いです。重いです。悲しいです。
客観的に見れば「酷い家」と言い切れてしまうんですが、当のワタルにしてみたらかけがえのない肉親です。何にも、誰にも変えられないお父さんとお母さんです。
ワタルは不幸を嘆きました。神社の神主さんに「神様はバカでナマケモノだ！」とまで暴言を吐き、この現実が嘘であってほしいと願っていたんです。けれどそれはあくまでも現実で…。
その前にミツルに「お前だけ不幸だと思ってるのか」と痛いところを突かれてるんですよね(苦笑)この言葉は私も結構キました。私自身の過去にもワタルのそれとは随分違いますが、どうしようもなく辛くて逃げ出してしまった事実があったからです。
ミツルの台詞は偽善めいてはいないと思います。この子もこの子でそれは暗く悲しい過去を持っています。だから自殺をはかろうともしたし、妹を生き返らせようともした…意外と一番人間臭いのは彼なのかも。
運命の塔手前で自分の心の闇と戦い見事ワタルは打ち勝ちました。自分自身と戦うってどうなんでしょう。それでも怯まず、逃げ出さず、ワタルは勝った…。この時それまで私の心の中で蟠っていた気持ちが少しずつ薄れていった気がします(´ー｀)
ワタルとミツル２人の別れのシーンはもうほんっと涙が…！どうしてどうしてどうして。
「何がいけなかったんだ？俺はどこで間違ったんだろう？」
そうですよね。今まで自分が正しいと思ってやってきたことが全て否定されたら誰でもこういった疑問を持つでしょう。その問いにただ涙し謝ることしかできないワタル。何故幻界の掟を破ってでもミツルと一緒に旅をしなかったのか。あああもう私も涙がこの辺はスゴかったですよ；やっぱり人は一人では生きていけない。え、これって児童書ですよね？と確認したくなるほど重い。
運命の塔で女神にワタルは一体何を頼むのだろうかと思っていたら、それは【常闇の鏡を打ち砕く】こと。女神に願いを叶えてもらったとしても、それは一時限りの幸せで未来永劫続くことはないと。それならばもう一度出発点に戻って最初からやり直すことが何よりも大切だとワタルは言ったんです。す・すごいよワタル…感激した！現実から逃げない、真っ直ぐに向き合うことって容易なことじゃないけれど敢えてそれを選んだワタルに私は拍手を送りたいです。
現世へと戻り以前の暮らしについたワタルですが、そんな彼の変化に叔父さんは気付いたんですね。両親のことで不安定な位置に立ち何をしたらいいのか分からないままでいる以前のワタルじゃない。もう彼は、今何をすべきかはっきりと悟っています。それは幻界で培った賜物とでもいうのでしょうか。
この物語と出会えてホントによかったと思いました。人が人である限り味わう幸不幸は数え切れないほどあります。苦難に対して人がチョイスできる選択肢は［逃げる］か［乗り越える］のどちらかです。［乗り越える］という選択肢には、自分がその現状を“受け入れる”ことも含まれています。まだまだ人間的に未熟な自分も、この物語を通して学べたことを今後の生活に生かせたらいいなと…そう思います。

何だか書きたいことが全くまとまってない自分でも納得のいかない文ですが、この本を読んだ率直な意見を忘れないうちに書いてみました（笑


ここまで読んでくださった方有難うございましたm(_ _)m